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(変貌急激な街「渋谷駅周辺」)

人混みが苦手で積極的に足を運ぶのを避ける街は多い。
その最たるのが渋谷で、毎年恒例の”ハロウィン”もどきの騒擾のイメージが強く、ますます遠のいていた。
余程用がない限り、この駅に降り立つことはなかった。
しかし、その渋谷駅周辺が急激に変化し、中でも戦前から駅に直結していた東横百貨店(現在は東急東横店)が3月で閉店の後にこれまた再開発で消えるという。
ちょうどコロナウィルスで外出自粛が叫ばれ、恐らく人出は少ないだろうと高をくくりながら、久しぶりに散策してみようと足を運んだ。


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銀座線渋谷駅

そんなわけで、銀座線渋谷駅に降り立ったのだが、以前とは様相が異なるホームの姿に思わずのけぞった。
いつどこの近未来風景(古っ!)だよ❓


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現在のホームから旧渋谷駅ホームが見える

ホームを進むと、奥に降り慣れた旧ホームが見える。
東急東横店の店舗に入り込んでいるのが、かつてのホームだ。

昭和13年に東急系列の「東京高速鉄道」が渋谷駅を開業、翌年には新橋まで全通する。
その際、折から開通していた浅草~新橋間の「東京地下鉄道」への乗り入れが計画されていた。
紆余曲折があって(その事情は各自ググってみてください)、昭和16年に半官半民の「帝都高速度交通営団」(現「東京メトロ株式会社」)が設立し、両者が一本化され、現在の銀座線ができた。
渋谷駅が東横店の中に入り込んでいるのは乗客を自店に足を運ばせるのを狙ったためであり、地下鉄のホームが地上高くあるのは、渋谷駅周辺が谷地という地形的要因からだ。


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銀座線ホームからJRホームを望む

銀座線ホームからはJRのホームを見下ろすことができる。
JRの高架が2階に対し、銀座線は3階、JRよりも地下鉄の方が高い位置にある。



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金網越しに臨む銀座線旧ホーム

金網からは、使われなくなった人気のない旧ホームが見える。


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人気のない銀座線旧ホーム

人気のない銀座線2番ホームは乗車専用だった。
ホーム幅が狭いので、対面している1番ホームが降車専用だったのだ。
乗客を一度降ろした車両が、マークシティ側にある折り返し場まで進み、再びホームに入って乗客を載せるのだ。



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銀座線の線路はマークシティ内に伸びる

線路は折り返し線としてマークシティへ伸びていく。
余談だが実は銀座線、かつては渋谷から西延して玉電(玉川電気鉄道・のちの東急玉川線)と総合乗り入れして二子玉川まで開通させる計画があった。
折り返し線は、その計画の名残りでもあったのだ。
結局その計画は立ち消えになったが、旧玉電を地下に移設して(現在の東急田園都市線)、半蔵門線と接続する形で引き継がれる。


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銀座線ホームから東急東横店へつながる

銀座線のホームから東急東横店に入ることができる。


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3月末で閉店する東急東横店

売り尽くしセールが行われている東横店。
昭和9年に東横百貨店として開業、85年もの歴史に幕を閉じようとしている。
開店当時からの店舗だった東館は平成25年に閉鎖、解体されている。
そして、残っている西館や南館も閉店後は新しい再開発ビルに建て替えが予定される。


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この光景も見納めになる日が近いのか。


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渋谷駅に出る。
閉店後に取り壊される西館と南館が見える。


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ハチ公前に出る。
コロナの影響で人手も少ないだろうと思っていたが、いつもの渋谷だった。
それも若者が多いのだが、コロナとは無縁だと思ってるんだろうか。
ハチ公像の視線の先には、かつて路面を走っていた玉電の車両が見える。



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渋谷駅前のスクランブル交差点

渋谷駅前のスクランブル交差点も、いつもの通りの人の多さだ。
ちょうどここが谷底で、東へ宮益坂、西へ道玄坂が伸びている。


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渋谷駅東口

東口に出る。
銀座線の高架がSF映画に出てきそうなデザインに変わっていて戸惑う。
その先には東横店西館と南館で、東館は既にない。
そして、東急東横線の駅だった場所に巨大タワービルがいつの間にかできている。
ヒカリエができたのがついこないだと思っていたが......


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2012年に撮影した渋谷駅東口

8年前の2012年に撮った写真がハードに残っていた。
外見では分かりにくいが、東館は昭和9年と戦前の建物だったのだ。



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2013年当時の渋谷駅東口 在りし日の東急東横線渋谷駅

こちらは翌年に撮った東口の写真。
独特なデザインの東横線駅舎が残っていて、まだ地下化されていない当時のものだ。
東口のバスターミナルは、かつての都電のターミナルをそのまま踏襲したものである。


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ヒカリエから撮った渋谷駅東口

散策前にヒカリエ9階「ヒカリエホール」にのぼり、東口を撮る。
東急の駅がなくなって、巨大ビル「渋谷スクランブルスクエア」になっている。


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ヒカリエから撮った渋谷駅東口

首都高と国道246号を挟んで向こう側にも高層ビル「渋谷ストリーム」ができている。
ちょうど東急東横線の線路が通っていた跡だ。
その向こう側の桜丘も再開発進行中で、渋谷の変貌は完了するどころかとどまることを知らない。

余りの急激な変貌に溜息をつきつつ、ヒカリエを降りて渋谷の街を久々に回ることにする。


(訪問202003)