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(茨城県潮来市)


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水郷の街として有名な「潮来」と「佐原」を日帰りで回ってきました。
今回取り上げるのは茨城県潮来市、常陸利根川と霞ケ浦、北浦に囲まれており、文字通り「水郷」というにふさわしい場所にあります。
東京から北東へ直線距離にして80余㎞程。



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日帰り旅ということで早朝5時過ぎに東京を出、幾度か電車を乗り継ぐこと約2時間、潮来には7:24に到着。


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駅から近い場所にある代表スポットの「あやめ園」へ。
うれしいことに24時間無料で入ることができる。
ちょうどこの時期があやめのシーズンで、毎年あやめ祭りが行われ、いつもなら大勢の人で賑わうはずですが......


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市内を流れる前川には水郷めぐりの舟が幾重も係留しています。


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前川は水門を通り、常陸利根川に流れていきます。


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早朝の常陸利根川、対岸は千葉県。

さて潮来の歴史ですが、江戸時代には東北諸国から江戸に入る際に多くの舟が利根川を辿るのにまず立ち寄る水運の要衝として繁栄した歴史があります。
寄港する船が増大するにつれ、この地に遊興地ができるようになりますが、その経緯が『全国花街めぐり』にて取り上げられています。

此地は昔、奥州より中山道に通ずる要津に当り、銚子又は鉾田から内海に出入する船は、悉くこゝを過らねばならぬので、水駅として其名夙にあらはれてゐたが、殊に水戸領となって、水戸下市藤柄の娼家を移されてからは温柔境となりてその殷盛旧に倍し、旧幕の頃には妓楼九軒(遊女百余名)引手茶屋四十余軒、浜一丁目に軒を連ねて居った。

妓楼9軒に娼妓100余名とは盛大な遊里で、各妓楼には12~3名の娼妓がいて、そこかしこで潮来節に合わせて名物「あやめ踊」を踊っていたといいます。
前掲書によると、刊行の昭和2年当時は

菖蒲河岸から上って角菱旅館の前の十字路へ出る。そこが潮来の銀座通りで、左へ曲れば即ち花街の浜町。両側に妓楼、芸妓屋、小料理店などが建ち並んでゐる。
妓楼 三軒。あやめ楼、第二あやめ楼、玉楼。
娼妓 十八名。
芸妓 三十名。
芸妓屋 七軒。
料亭 三十軒。
待合 一軒。
旅館 六軒。


という規模で、江戸時代と比べると若干の衰退が見られるように。
更に、戦後になると 

「ならぶともしは潮来の曲輪、月はおぼろの十二橋」・・・・・・と潮来節にうたわれた頃は、潮来図志によると『常陸なる潮来の里は、東都五十街に傚びし廓にして妓楼九軒、遊女百人余名。引手茶屋四十余軒浜一丁目に軒を連ねたり』としるされている。その潮来も、昨今はぐんと衰微し、芸妓十七名、酌婦二十四名。名物のあやめ踊もだんだん下手になった。下手ついでに芸者を呼ばず、酌婦を呼んで歌をうたって貰い、そのあやめ情緒の中でおねんねするのもイキなものである。酌婦の花代二百五十円。特花千五百円。

と『全国女性街ガイド』では手厳しく記される程に衰退の一途を辿っていきます。


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さて、遊廓があったとされる「浜一丁目」「浜町」ですが、国土地理院の地図を見ると容易に見つかります。
駅の西側、常陸利根川沿いに「浜丁」というのがありますが、この辺りがかつての遊廓でした。


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遊廓のメイン通り。
端に立っている棒、実は最近まであった復元された大門の一部だそうで。
それが何故かゴミ置き場になっていて残念な状態......


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そして、これが唯一の遺構とされている「あやめ楼」の門塀。
肝心の建物は漏電が原因の火災で焼失してしまったそうで......



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赤線の名残でしょうか、和風の建物にカフェー風のファサードを持つ飲み屋らしき建物も残っていました。



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遊廓の残滓を思わせる飲み屋が所々残ってはいますが、夜は明かりを灯されるんでしょうか?



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因みに江戸時代、潮来は吉原、大洗とともに関東三大遊廓の一つに挙げられていたそう。
三大遊廓ですかぁ、まあ吉原は別格としても、とても隆盛を誇っていたとは想像がつかない......



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かつて料亭だったんでしょうか、廃業して年月が経っている感じになっていますね。


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という感じで、静寂ばかりが支配する遊廓跡でした。


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あやめ園と並んで代表的な観光スポットとなっている長勝寺へお参り。
源頼朝が武運長久を祈願して建立したといわれる寺院で、茅葺き屋根の本堂が歴史を漂わせていますね。



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本堂と山門の間を通る参道には紫陽花が色よりどりに咲き誇っています。



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県道沿いには所々に古い佇まいの町家が見られますね。




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水運の拠点だったこともあって、江戸時代には東北各藩の蔵屋敷も軒を連ね、廻船業や酒造業など商業も栄えていたようで。




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巨大な長屋門と蔵が続いている町並み。
この辺りが往時の賑わいを思わせる景観を見せているようですね。



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潮来を代表する造り酒屋さんの「愛友酒造」さん。
細い通りの両側に白壁の酒蔵が続いています。


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反対側から。



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敷地内、ここは酒蔵見学もでき、直売と利き酒もやっています。
私も帰りに購入、重いので輸送してもらいました。


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帰り際に「舟に乗っていかないか❓」と声を掛けられましたが、次の目的地に向かうため今回はパス。舟で水郷めぐりというのも乙でしょうけど、何しろ次の電車を逃すと更に2時間も待たねばならないのですから。

そんなわけで、「潮来」を後にして次の目的地、対岸の「佐原」へ向かいます。

(訪問 202006)